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鈴木ファストアーベント理恵(第184回Job Shop入賞者)

第184回 Job Shop 作品入賞

訳書名 『幻覚剤と精神医学の最前線』
訳書出版社 株式会社草思社


訳書名 『常勝メンタル 成功が習慣化する心の鍛え方』
訳書出版社 ダイレクト出版株式会社


翻訳ストーリー

 翻訳の世界に足を踏み入れたのは2008年。海外への転居を機に実務翻訳の仕事を始めました。縁あって数年後、書籍翻訳のお話をいただいたのですが、実は私、この最初の1冊を最後に出版翻訳の道を諦めた経験があります。当時は右も左もわからず、訳のスピードも遅く、納期に間に合わせるので精いっぱい。集中できる時間は子どもを寝かしつけた後だけなのに、幼い娘は眠るのが苦手で、夜中に何度も目を覚ます。添い寝をする度に寝落ちし……こんな毎日が続き、ピーク時に夫の実家で数日預かってもらったところ、娘が言葉を発しなくなってしまったのです。完成見本を手にしたときは大きな喜びを感じましたが、これは無理だと泣く泣く断念。時間に融通が利く仕事に専念することにしました。
 さて時を10年ほど早送り。娘はすっかりティーンズの一員となり、親を疎ましがるように。「眠れないから一緒に寝て」と枕を抱えてやってきたあの愛しい娘はどこへ(笑)?でもこれは仕事を増やすいい機会だと思うと、一度は諦めた出版翻訳の夢が再びむくむくと膨らんできました。その後数冊の訳書を出させてもらったものの、手探りで仕事をしている感が否めずもやもやしていたところ、トランネットの存在を知り入会。Job Shopを通していただいた案件が『Psychedelics』でした。専門性も高く、けっして簡単な内容ではありませんでしたが、「文系の自分が初見で理解できるか」を基準にわかりやすい文章の作成を心掛けました。何より有難かったのは、専任スタッフによるサポートです。それまで見よう見まねで翻訳と訳者校正をやっていましたが、作業開始にあたって全体像から細かい留意点まで訳者が知っておくべきポイントを示してもらえ、おまけに絶妙なタイミングでおだて励ましていただき、初めて書籍翻訳に挑戦したときに伴走してもらえていたら……などと詮無き想像をしてしまうぐらい、本当に助けられましたし、学びになりました。お世話になった皆様には翻訳の仕事を通して恩返しをできればと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

土井築月(第680回オーディション入賞者/第182回Job Shop入賞者)

第680回 オーディション 作品入賞

訳書名 『見えるものを描かず、見えないものを描く マテウシュ・ウルバノヴィチ アート作業覚書』
訳書出版社 株式会社玄光社


第182回 Job Shop 作品入賞

訳書名 『マジック:ザ・ギャザリング ビジュアルガイドブック』
訳書出版社 株式会社玄光社


翻訳ストーリー

 私は大学卒業後、営業として5年間働き、海外赴任の終了を機に翻訳・通訳にキャリアチェンジしました。映像翻訳会社で字幕の翻訳・校正や吹替台本の執筆をしながら基礎を学び、大学で専攻していたイタリア語の翻訳もわずかながら経験しました。その頃オーディションに初参加し、出版社にはじめて紹介いただいたときは、夢にぐっと近づいたような気がしました。
 最初の訳書は『マジック:ザ・ギャザリング ビジュアルガイドブック』。ちょうどアニメ制作会社に転職して間もない頃でしたが、出版社はくしくもアニメ関連本に定評がある玄光社で、シド・ミードの美しいコンセプトアート集は職場の本棚にも並んでいました。「“マジック”の作品世界に親しんでほしい」という編集者さまのご厚意でゲーム体験会に参加させてもらい、世界観にどっぷり浸かって翻訳をしました。
 2冊目の訳書は『見えるものを描かず、見えないものを描く』。日本でアニメ背景の仕事をしたのち、イラストブック『東京店構え』で人気を博したポーランド人アーティストによるエッセイ集です。翻訳しながら、アニメ制作現場で培った知識を活かせること、同じ会社で働く背景さんや海外のアニメーターへの理解が深まっていくことに、自分でも驚きました。出版翻訳とアニメ制作現場での新しいチャレンジがたまたま重なった自分の状況を、著者の瑞々しいエッセイに重ねていたためか、何もかもが新鮮で記憶に残った時期でした。
 一方で、訳文の拙さには日々悩みました。いまでは翻訳家の先生に師事していますが、当時はコーディネーターの方々からいただいた的確なアドバイスを何よりの糧として、少しずつ訳文をブラッシュアップする方法を学んでいました。それだけでなく、オーディションやリーディングを通じて、気づけばはや数年間、出版翻訳に向けての助走をトランネットさまに併走してもらっていました。この場を借りて深く感謝申し上げます。

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