トランネット会員とは トランネット会員とは

トランネット会員の翻訳ストーリー トランネット会員の翻訳ストーリー

土井築月(第680回オーディション入賞者/第182回Job Shop入賞者)

第680回 オーディション 作品入賞

訳書名 『見えるものを描かず、見えないものを描く マテウシュ・ウルバノヴィチ アート作業覚書』
訳書出版社 株式会社玄光社


第182回 Job Shop 作品入賞

訳書名 『マジック:ザ・ギャザリング ビジュアルガイドブック』
訳書出版社 株式会社玄光社


翻訳ストーリー

 私は大学卒業後、営業として5年間働き、海外赴任の終了を機に翻訳・通訳にキャリアチェンジしました。映像翻訳会社で字幕の翻訳・校正や吹替台本の執筆をしながら基礎を学び、大学で専攻していたイタリア語の翻訳もわずかながら経験しました。その頃オーディションに初参加し、出版社にはじめて紹介いただいたときは、夢にぐっと近づいたような気がしました。
 最初の訳書は『マジック:ザ・ギャザリング ビジュアルガイドブック』。ちょうどアニメ制作会社に転職して間もない頃でしたが、出版社はくしくもアニメ関連本に定評がある玄光社で、シド・ミードの美しいコンセプトアート集は職場の本棚にも並んでいました。「“マジック”の作品世界に親しんでほしい」という編集者さまのご厚意でゲーム体験会に参加させてもらい、世界観にどっぷり浸かって翻訳をしました。
 2冊目の訳書は『見えるものを描かず、見えないものを描く』。日本でアニメ背景の仕事をしたのち、イラストブック『東京店構え』で人気を博したポーランド人アーティストによるエッセイ集です。翻訳しながら、アニメ制作現場で培った知識を活かせること、同じ会社で働く背景さんや海外のアニメーターへの理解が深まっていくことに、自分でも驚きました。出版翻訳とアニメ制作現場での新しいチャレンジがたまたま重なった自分の状況を、著者の瑞々しいエッセイに重ねていたためか、何もかもが新鮮で記憶に残った時期でした。
 一方で、訳文の拙さには日々悩みました。いまでは翻訳家の先生に師事していますが、当時はコーディネーターの方々からいただいた的確なアドバイスを何よりの糧として、少しずつ訳文をブラッシュアップする方法を学んでいました。それだけでなく、オーディションやリーディングを通じて、気づけばはや数年間、出版翻訳に向けての助走をトランネットさまに併走してもらっていました。この場を借りて深く感謝申し上げます。

新規会員登録はこちら