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原題 Ugliness: A Cultural History
著者 Gretchen E. Henderson
分野 歴史学/美術
出版社 Reaktion Books
出版日 2015/12/15
ISBN 978-1780235240
本文 一般的に「醜」は「美」の対比概念であり、ネガティブなものと理解されているが、その線引き自体が実に曖昧だ。例えば日本で美の範疇に入る「わび・さび」の概念(枯れ、褪せ、粗末など)は、西洋ではどちらかといえば「醜」を意味するものに分類される。また、人気TV番組『アグリー・ベティ』に見られるように、最近では「醜」はポジティブな意味合いを含むことも多い。

では「醜」とはそもそも何なのか。その問いに答えるため、本書では醜いとされたものの歴史を辿りながら、その正体に迫ってゆく。見た目に象徴される個人についての「醜」の概念、差別につながる集団に対する「醜」という認識、また、あらゆる人間に本来的に備わっている触覚や視覚といった感覚に基づく「醜」など、さまざまな角度から切り込み、「醜」の新しい定義づけの可能性を探る。

そして、「醜」とは固定的で不動の概念ではなく、相関的に捉えられるもので、その概念は時代と共に常に変容し続けるものであり、多様性を肯定する「醜」には未来を切り拓く力があると説く。

「醜」とは一体何なのか、一度じっくり考えてみてはいかがだろうか。