原題 | The Richest Man Who Ever Lived: The Life and Times of Jacob Fugger |
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著者 | Greg Steinmetz |
分野 | 伝記/歴史/金融ビジネス |
出版社 | Simon & Schuster |
出版日 | 2015/8/4 |
ISBN | 978-1451688555 |
本文 | ヤコブ・フッガーは、お金の儲け方に革命をもたらし、富そのものを追求するという斬新な考えを確立したルネサンス時代の銀行家である。本書は、史上最高の富豪とも言われる彼の人生とその時代を語る。 15世紀から16世紀にかけドイツに生きたヤコブ・フッガーは、農民の孫であったが、死ぬときまでにその財産はヨーロッパのGDPの2%近くになっていたという。ジョン・D・ロックフェラーさえこれほどの富を手にしてはいない。 多くの者たちが、好機を見極め、新しい技術を開発し、交渉で相手に勝つことで富を築いてきた。フッガーもその一人だが、彼をさらなる高みにのぼらせることになったもう一つの資質がある。度胸だ。王たちが無限の権力をふるっていた時代にフッガーは国の長をにらみつけ、利息付きで借金の返済を迫った。彼を、史上最高の富豪というだけではなく、歴史を動かすほどの権力者にしたのは、飽くなき野心と並ぶこの冷静さと自信であった。 フッガーが登場するまで、教会法では貸付金に利息を課すことは禁じられていたが、彼がローマ法王に法を変えさせた。また、宗教改革のきっかけを作る一助となり、マゼランの大航海への資金提供もしている。情報においてライバルや顧客の上を行くような新しいサービスを作りあげ、ジャーナリズムの歴史にその足跡を残すことにもなった。そしてオーストリアのハプスブルク家を、第2王位継承者から太陽の沈まない国と呼ばれた帝国の支配者にしたのもフッガーである。 宮廷の陰謀、騎士の戦い、一族の悲劇と勝利、1%の富裕層と残りの人々との激しいぶつかりあいなど、本書はこれまで語られてこなかったフッガーの物語に満ちている。長くジャーナリズムの世界で活躍してきた著者がまとめた内容は、現在の金融システムやそこに至るまでの道のりを理解するためにも役立つ。歴史に興味のある人だけでなく広くビジネスマンにも薦めたい1冊だ。 |