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原題 Weltmacht IWF: Chronik eines Raubzugs
著者 Ernst Wolff
分野 ビジネス/経済
出版社 Tectum Verlag(ドイツ)
出版日 2014年9月17日
ISBN 978-3828833296
本文 著者曰く、IMFは、第二次世界大戦後に設立されて以来、数多くの国々を意図的に金融危機に陥れ、冷酷無比な金融政策によって莫大な資金を吸い上げてきた。その結果は、世界規模での貧困と飢餓の蔓延である。貧しい国の労働者や貧困層、高齢者こそが、IMFの政策による犠牲者なのだ。

本書は、ブレトン・ウッズ会議に始まり現在に至る国際政治を、金融危機とIMFによる国家財政への介入の歴史として描き出す。財政破綻の危機に直面した国々に対して、IMFは金融政策という武器をふるい、徹底的な略奪を繰り返してきた。これにより、IMFは世界で最も強力な金融組織へとのし上がり、富める者にはますます富が集中し、貧しい人々はさらに貧しくなる。すべては金融システムの安定性という大義名分のもとに行われてきたことだが、その裏にあるのは国際的な巨大銀行とヘッジファンドの利益を図る厳密に仕組まれた計画なのだ。

国際経済と金融政策という複雑なテーマを扱っているにもかかわらず、本書の説明はわかりやすく、推理小説のような面白さがある。読者は、本書が暴露する世界経済政策の舞台裏に驚きながら、世界情勢の理解を深めることができるだろう。