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原題 Des idées plein la terre
著者 Lionel Auguste
分野 環境
出版社 Presses de la Renaissance(仏)
出版日 2004/4/15
ISBN 978-2856169674
本文 世界中の自然環境はどうなっているのだろうか? フランスの若者3人が、その実態を自分たちの目で見て、肌で感じてみようと、13カ月かけて世界一周の旅をした。「エコツアー」と命名されたその旅の目的は、科学者でも技術者でもない彼らが、自らの視線で素直に捕らえた各地の光景を多くの人に知ってもらうこと。そして、その土地の活動家たちと意見を交換し、環境保護と経済発展を結び付けようとする活動に光を当てることだ。

彼らの旅は2001年8月27日にリヨンからスタート。スペインを経て入ったアフリカ大陸では、新たな発見の連続だった。アフリカに住む人々は、年長者を尊び、自然を大切にする――先進国の都会人が忘れてしまっている人間として一番大切なことを、今も守って生きている。彼らの生活から、先進国がいま取り組まなくてはならない公害問題、自然エネルギーへの移行の重要性を、エコツアーの若者は再認識する。

中央アメリカでは旅行者のゴミのポイ捨てに心を痛め、その土地に利益をもたらすようにお金を使うべきであることを学ぶ。愛国心がほとばしり、国立公園の環境保護を徹底している米国では、企業もエコに気を配らなければ発展を望めないことを知る。アジアではシンガポールの海草の異常繁殖やタイの象の激減、北京の急速な近代化に伴う二酸化炭素の排出などを目の当たりにする。

旅につきものの数々のトラブルも満載だが、本書はただの旅行記ではない。彼らがパリに戻ったときの爽やかな感激をともに味わいながらも、自らの日々の生活と、それが地球環境に与える影響に思いを馳せずにはいられない。