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原題 The Face of Emotion: How Botox Affects Our Moods and Relationships
著者 Eric Finzi
分野 脳科学/認知科学
出版社 Palgrave Macmillan
出版日 2013/1/29
ISBN 978-0230341852
本文 ボトックスといえば美容整形でしわ取りに用いられる薬として知られているが、本書では、表情が脳に与える影響を豊富な事例と最新の知見に基づいてひも解きながら、皺眉筋(しかめ面をつくる表情筋)をボトックスで麻痺させることで外科的にうつ病を治療できるという画期的な方法を紹介している。

著者は、表情筋は人類の進化に欠かせない重要な身体的特徴だったのではないかと指摘する。しかめ面で仲間にすばやく異変を知らせたり、ほほえみで集団の絆を深めたりしたことで、人間は集団生活を送れるようになったのだ。また、「モナ・リザ」「ラオコーン像」でほほえみとしかめ面の起源を説明し、最新の「顔面フィードバック理論」、FBIが使う「微表情分析」による嘘探知法、さらには、落語による免疫力向上の研究、インド発祥の笑いヨガといった驚きと笑いに満ちた事例をふんだんに盛り込みながら、なぜ笑うと健康になるのか、なぜ表情と感情が連動するのかを解説する。

実際にボトックス治療を受けた患者の言葉は感動的ですらある。うつ病や気分の落ち込みに苦しむ人には実用書として役立つのはもちろん、心と体を健やかに保ち、いきいきと人生を送りたいと願う幅広い層にも楽しんでもらえるだろう。