ブックレビュー ブックレビュー

原題 The Templeton Twins Have an Idea:Book One
著者 Ellis Weiner(作), Jeremy Holmes(絵)
分野 児童文学
出版社 Chronicle Books
出版日 2012/8/15
ISBN 978-0811866798
本文 ジョンという男の子と、アビゲイルという女の子の12歳の双子がいる。ジョンは実用的な発想力と実行力に富む。趣味はドラムをたたくこと。アビゲイルは理論的で、言葉の使い方に秀でている。趣味はクロスワードパズルを解くこと。カシーというフォックステリヤを飼っている。ふたりの父親はエルトン・テンプルトン教授で、才能あふれる著名な発明家だ。

ある日、ディーン・D・ディーンとダン・D・ディーンという双子が、テンプルトン教授の発明のひとつは自分のアイディアの盗作だと言いがかりをつけて、テンプルトン家の双子と犬を誘拐する。双子を人質にして、発明は共作だと教授に認めさせる算段だ。倉庫に閉じこめられたテンプルトン家の双子は、窮地を脱するべく、知恵と工夫を駆使した作戦を立てる!

本書に特徴的なのは、ナレーター(語り手)の存在だ。男であるという以外はどんな人物か不明だが、物語の途中で何かと口をはさんでくる。コメントはシニカルで鋭く、それまでの話について考えるきっかけにもなる。わかりにくい言葉を説明する役割も担っているため、幼い読者にとっては心強いだろう。ナレーターと対話しながら本を読んでいるという気分にもなる。

独特の世界を持つ佳作で、各種レビューは本作を絶賛している。対象読者は小学校中高学年。