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原題 The Stem Cell Hope:How Stem Cell Medicine Can Change Our Lives
著者 Alice Park
分野 医学
出版社 Hudson Street Press
出版日 2011/6/9
ISBN 978-1594630781
本文 幹細胞研究はこの10年で飛躍的に進歩した。再生医療の実現で、癌や糖尿病、アルツハイマー病からの回復が可能となるかもしれない。今まさに、医療革命が起きようとしている。

かつて幹細胞研究では、科学の進歩よりも政治的・倫理的論争が先行してきた。iPS細胞(人工多能性幹細胞)の登場以前は、人工多能性幹細胞といえばES細胞(胚性幹細胞)であった。多能性幹細胞の可能性は期待され続けてきたものの、ES細胞をつくるときに受精卵を壊してしまうため、生命の尊厳という点で問題があった。そこに登場したのが、山中伸弥教授が開発に成功したiPS細胞だ。iPS細胞の生成に受精卵は不要である。

著者のアリス・パークは、これまでの幹細胞研究の内容だけではなく、その政治や社会への影響についても、臨場感たっぷりに語る。幹細胞研究に携わってきた個々人の苦闘の足跡は、胸にせまるものがある。あらゆる角度からの綿密な取材をもとにしたノンフィクションながら、ストーリーテリングの点でも見事であるため、専門家のみならず、一般読者も魅せられるだろう。