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原題 The Value of Art: Money, Power, Beauty
著者 Michael Findlay
分野 ビジネス/芸術
出版社 Prestel, UK
出版日 2012/4/10
ISBN 978-3791346380
本文 芸術の価値とは何だろうか。パブロ・ピカソの絵は、なぜ1億ドル以上で取引されるのか。本書は、アート市場と我々にとっての芸術、そしてその価値について考察を試みる。

著者は、芸術を韜晦することなく、確固とした価値のもとに、アートビジネスの半世紀にわたるさまざな事柄をクローズアップし、判断を下している。著者によれば、芸術には3種類の価値がある。すなわち、商業的価値、社会的価値、そして最も基本的なものとして、文化、教育、人生経験に根ざす個人としての芸術に対する親和力である。

多くのコレクターはアート市場の変動を免れることはできないが、投資目的のみで売買することは賢明でない、と著者はいう。芸術への愛は所有者の社会生活を豊かにするとともに、重要な役割を担うことにもなるのだ。

さらに、芸術はどのように価値付けられるのか、アート市場はどのように機能するのかを解説。詐欺、セレブ・コレクター、新発見などなど、逸話も豊富である。

著者のアート市場での豊富な経験が、コレクターのみならず、アマチュアの読者の芸術への理解と愛を促進することであろう。