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原題 Finding Your Road to Success
著者 Patrick Daniel
分野 自己啓発
出版社 2010/11/25
出版日 PDCA Publishing
ISBN 978-0986706004
本文 周囲の人々が皆、自分ひとりを残して先に進んでいるように感じて落ち込んだことはないだろうか。あるいは望むものを手に入れて成功している人がいる一方で、自分の夢はこのままで終わってしまうのかと口惜しく感じたことはないだろうか。本書は、あらゆる年齢、社会的地位、バックグラウンドを持つ人々が真の幸せ、豊かさ、究極の成功に到達するために必要な段階的アプローチを提供する。

著者は、社会に出て仕事を始めた頃、自分の人生は日々良くなっていると感じているのに、周囲の人々はなぜ人生に不満をもらすのか、経済的な面でもどんどん負債にあえいでいくように見えるのはなぜなのかが理解できなかった。そして、人々は本当の意味での自らの成功というものを知らないのではないかと気づく。つまり彼らは、お金持ちになることというような社会が定義づける成功を達成しようとしており、その結果、本来買えるはずのないもの、必要でもないものを買い、お金を使い果たしている……この誤りに気づいたことが本書執筆のきっかけとなった。

著者はまず、自分が考えるものとは異なる成功の定義を見つけることから始める。定義は一人一人違い、個人的なビジョンをはっきりと持たない限り、成功に向かっていけないからだ。そして、成功を定義するためには自分の強さ、弱さ、なにを大切にしているかを評価する必要があり、自身を深く掘り下げなくてはならない。自分にとっての成功を把握したら、次に、そこへ到達するためのロードマップを作成する。目指すべき成功の到達地点から逆戻りしつつ、途中の目標ポイントを決め、チェックリストを作り上げる。

ロードマップができあがったら出発だが、本当に大変なのはここから先だ。そこで、成功への道のりを歩む上で迷子にならないためのヒント、コツを著者はわかりやすく説明する。一つの成功は別の成功の上に築かれるが、時には後退や失敗もある。しかしながら、それさえも成功を手助けするものとなるのだ。さらに、ポジティブでいること、人生は問題ではなく解決策に溢れていると思い出すこと、一人一人異なる存在だが優劣はつけられないと認識すること、平凡な人物こそ実は大物であること、周囲からの信用を得るには自らの誤りを認めること等々、著者の助言は過去にも読んだり聞いたりしているかもしれないが、個人的な逸話や様々な引用が織り込まれていることで、読者への率直で新鮮なメッセージとなっている。

人生の先行きに疑問を感じる人はもちろん、これから社会に出る若者にも是非一読を勧めたい。