原題 | Yoga Bitch: One Woman’s Quest to Conquer Skepticism, Cynicism, and Cigarettes on the Pain to Enlightenment |
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著者 | Suzanne Morrison |
分野 | ヨガ/体験記 |
出版社 | Three Rivers Press |
出版日 | 2011/8/16 |
ISBN | 978-0307717443 |
本文 | 著者自身の2カ月にわたるバリ島でのヨガ修行回想録。自分のスピリチュアルな部分に目を向けようと決めたとき、コーヒー飲みで、タバコ吸い、ステーキ食いの25歳の無神論者に何が起こったかが赤裸々につづられる。 宗教を信じられず教会に通うのをやめた10代のころ、著者に怖いものはなく、死とは来るべきときに来る第2の冒険だと思っていた。ところが、25歳になると死の恐怖が片時も頭から離れなくなった。硬直した、冷酷な、何よりも得体のしれない死におびえた。神も見つからず、おかしくなりそうな彼女を救ったのがヨガ教師のインドラだった。インドラは美しく、優しく、愛も自己も神もすべてを理解しているようだった。ヨガを教わることで変化していく自分に驚いた著者は、自分もインドラのような素晴らしい人間になろうと、1年分のタバコ代をはたいてバリ島での2カ月のヨガ修行に参加した。 しかし、新しい自分、スーパーヨギへの道は思っていたほど簡単ではなかった。コーヒー、砂糖、タバコ、アルコール、肉禁止。インドラとヨガのクラスメイトが毎朝湯気を立てた大きなマグカップで飲んでいるものは……自分たちの尿だった! 「ここは軍隊なの?」と叫ぶほどにきついレッスン。クラスメイトの強烈なおならの臭い。著者がより高位の自己を探そうとすればするほど、シニカルで、自己中心的で、タバコとワインとチョコレートを愛してやまない自分に直面するのだった。さらに修行も終盤に来て、自分が愛し、尊敬していたインドラが、悟りを開いた人間でも神でも化身でもない、生まれつきゴムのように柔らかい背中以外は自分たちと変わらない人間であると知ってしまう。だが、この経験はその後10年以上にわたり、彼女に驚くべき実りをもたらし続けている。 当時日記につづっていたことを基に書かれた本書はフィクション顔負けの面白さである。25歳の自分に正直な著者の筆が冴えわたる。鋭く、真剣で、ドタバタあり笑いありの日記の背景に、バリ島のエキゾチックな風景がロマンを添える。読後に爽快感のある1冊。 |