原題 | Epic Win for Anonymous: How 4chan’s Army Conquered the Web |
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著者 | Cole Stryker |
分野 | 文化/インターネット |
出版社 | The Overlook Press, Peter Mayer Publishers, Inc. |
出版日 | 2011/9/1 |
ISBN | 978-1590207109 |
本文 | 海外版「ふたば☆ちゃんねる」ともいえる4chanをご存知だろうか。インターネット上で最も面白いとされて人気はあるが、あまり評判の芳しくない掲示板のことである。主要なメディアは、4chanを高度なハッカーやサイバーテロリストを生む土壌だとして不安をあおりがちだ。本書は4chanをテーマにした初の書であり、著者は、自由と匿名という2つの特徴を持つ4chanを客観的に記録するという意図を持って執筆した。彼は自ら4chanに参加しながら、反対者やオンブズマンとしての目も持っている。 4chanのユーザーは羞恥心も懲罰への不安も持たず、思うままに発言し、行動する。この掲示板の大きな問題は無秩序と匿名性---ルールがなく、大半の者が「名無しさん」で投稿している点だ。実名登録を基本とするFacebookとは真っ向から対立する。 ここにはいろいろな種類の掲示板が存在するが、ランダム掲示板(/b/)の異様さは際立っていて、児童ポルノ画像や人種差別発言など、プロバイダの利用規定に違反するものもある。また、4chanからハッカー集団Anonymousが生まれ、スペイン警察のサイトを攻撃するなど世界中で数々の事件を起こしている。 本書では、4chanが関わった実際の出来事---YouTubeで有名なジェシー・スローターのミームが生まれてから消えるまでの話、政治家サラ・ペイリンのEメールアカウントが漏れた経緯など---を数多く取り上げている。 4chanはこれまでも文化を変えるほどの衝撃を社会に与えてきたし、これからも大きな影響を及ぼし続けるだろう。インターネットの世界は急速な拡大と変化を見せ、現実世界との解離、融合が盛んになっている。ネット上の新たな動きに興味や不安を覚えている方に、NY大学のテキストにも採用された本書の一読を是非おすすめしたい。 |