原題 | Addiction: The Brain Disease |
---|---|
著者 | Dale Carlson, Hannah Carlson |
分野 | ヤングアダルト(12歳以上)/健康 |
出版社 | Bick Publishing House |
出版日 | 2010/10/13 |
ISBN | 978-1884158353 |
本文 | 本書では依存症を個人の体質や生活によるものではなく、脳の病気と捉え、近年の研究で明らかになった脳がはまる依存症の仕組みを10代の若者にもわかりやすく解説する。 その仕組みとは、脳内の喜びを感じる物質---ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンといった神経伝達物質---のメカニズムが狂って、薬物、ギャンブル、恋愛などに身体的、精神的に依存していくというものだ。 さらに依存症の起源にも触れているところが目新しい。人類の祖先の脳まで起源をさかのぼると、最後は遺伝暗号のDNA遺伝子にたどり着く。依存は、DNA遺伝子が生存への欲求を命じて、報酬システムを作ったことに始まるという。つまり、古代の人類は食料を手に入れるのが難しかったため、その報酬として脳内に喜びを感じる物質が出されたのだ。これが尽きることのない欲求となって、現代の人間の脳にも埋め込まれており、各人の環境と反応することで依存症が始まる。 依存の対象は周知のアルコールや薬物といった物質、ギャンブルやセックス、買い物、ゲームなどの行為から自分自身までと幅広い。どの依存症も進行し、慢性化し、再発する脳の病気だが、行動を変えれば神経回路も変わる。本書は、原因と予防法と回復への手がかりを示すことで、青少年の依存症理解を助ける。また、大人が子どものために、また自分自身のために読む価値のある書でもある。 第2部には子どもたちが自分の状態をチェックできるように、14の自己診断テストが掲載されている。各種依存について直接問うテストだけでなく、抑鬱や完璧癖といった精神状態、共依存に関するテストも用意されている。また、第1部の各章末に1話、第2部のテストの間に4話の事例が紹介されている。Carol Nicklausのイラストがふんだんに使われていて、依存症の怖さが若い読者の心にまっすぐ伝わることだろう。 |