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原題 Invisible Men: Men's Inner Lives and the Consequences of Silence
著者 Michael Addis
分野 心理学/自己啓発
出版社 Times Books
出版日 2011/12/20
ISBN 978-0805092004
本文 世の男性の多くが、昔かたぎな「男らしさ」にとらわれて、あるいは無意識に、心の内を人に見せない術を身につけてしまっている。しかし、だれにも弱音を吐けない、だれにも弱みを見せられないという心性は、実にさまざまな問題をひき起こし、女性や子ども、コミュニティや社会にまで多大な影響を及ぼしている。

本書では、科学的研究と著者自身の診療経験にもとづいて、心身のつらさや痛みを隠しつづけることがどう作用し、どれほどの代償を強いるものか、何が引き金となってそうなるのか、本人とまわりはどう対処すればよいのかを詳しく述べる。また、男性が困難に直面したときに面目を失うことなくそれを他者とわかちあう効果的な方法や、コミュニケーションの築き方、さらに、男性の好きな「男であることの意義」について考察する機会も提供する。

本書はぜひパートナーと一緒に読んでほしい。「見えない男」を見て、理解するための視点が得られ、なぜ沈黙するのか、何を感じているのかについての誤解を解くことができるに違いない。パートナーどうしでのコミュニケーション・エクササイズも紹介している。

一見、自分を守っているかに見えて、その実、男性自身にも周囲にも、深刻な害をもたらしている心の鎧をうち破ることができれば、いまよりずっと良い関係を築くことができ、生きやすくなるだろう。