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原題 The Coke Machine: The Dirty Truth Behind the World’s Favorite Soft Drink
著者 Michael Blanding
分野 ノンフィクション/経済/社会倫理
出版社 Avery Publishing Group
出版日 2010/09
ISBN 978-1583334065
本文 1970年代に「愛するハーモニー」のCMソングが流れて以来、コカ・コーラは、すべての人種や文化を結ぶ甘美な世界的清涼飲料水として広告を打ち続けてきた。その謳い文句は驚くほど功を奏し、コカ・コーラ社は世界で最も高い収益を上げる企業にのし上がった。しかし、国内外にその販路を広げるにつれ、ますます多くの人たちが、その甘みよりも苦みを感じるようになっている。

本書は、この世界的大企業が消費者の健康や従業員たちに害を与え、環境基準に反する行為を組織的に行っていると告発している。著者は、明るいブランドイメージとは正反対の企業の姿、また、コカ・コーラ社が荒廃させた地域社会の現状を目の当たりにしてきた。インドとメキシコでは、コカ・コーラの瓶詰工場が水道水の供給に多大な打撃を与え、有害物質による汚染を拡大させていると疑われている。コロンビアでは、組合員たちが自らの権利を守ろうとして殺された。アメリカでは、独占的超大型契約が学校と結ばれて小児肥満が助長され、同時に、コカ・コーラ社は不動の成功を手にしている。

複雑な内部事情がふんだんに明かされ、原価が明らかになる。そして、本書はこう問いかける。企業は、消費者、従業員、そして地域社会に対しどのような責任を負うべきなのか? また、盛んに国際的ハーモニーを強調し、宣伝するコカ・コーラ社のような企業に、私たちはどのような責任を負わせるべきだろうか?

本書は、企業の不正行為が横行する今日、どの政党を支持するかと同じくらい何を買うかが重要だということにはっきり気づかせてくれる。