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原題 Projekt Korper: Wie der Kult um die Schönheit unser Leben prägt(プロジェクト・ボディ:我々の生活に根づく美しさへの崇拝は、どう作り出されているのか)
著者 Waltraud Posch
ページ数 261ページ
分野 社会/文化論
出版社 Campus
出版日 2009/5/1
ISBN 978-3593389127
本文 現代の人々は、人生を開拓するだけではなく、自身の身体までも形作るようになった。今日のようにパーフェクトな外見に価値が置かれたことは、いまだかつてなかったであろう。身体は1つのプロジェクトとなり、自己最適化のための工事現場となった。最高の自己を阜サするという願いをかなえるためには、個性と自由の探求が重要となる。他者との違いを出しつつも、そこからあまり大きく外れないようにする必要もある。

いまや自身の身体に働きかける方法はいくらでもある。自らその身体を形作ることができるのだ。しかしこれは、身体を形作る責任が自分自身にある以上、他人の目にどう映るかという責任も自ら負わなくてはならないということを意味する。こうして、人々は美しくあることに対するプレッシャーを感じているのだが、このプレッシャーを自ら進んで受けているようにも見える。

美しさは、社会的な位置づけや各人のアイデンティティを作り、それを確かなものにするための役割を果たしている。実はこの美しさへの崇拝は、不確かな世界の中にあって、各人の個人的、社会的な位置を決めるための戦いなのだ。順応性と自主性、ノーマルなものと突飛なもの、消費社会と真実味のある生活の間で揺れ動く自己実現なのである。

著者は複数の女性誌の読者モデルとして、美が作られる現場を目の当たりにした体験を持つ。そして、ファッション誌を飾るひとつひとつの写真は、実はかなり作りこまれたもので、その裏にはカメラマン、ヘアメイク、スタイリストなどのプロたちによる尽力と、長い撮影時間が隠されていると訴える。学術的な考察にとどまらず、美しさへの崇拝の実態を浮き彫りにし、読者に気づきの視点を与える一冊。