ブックレビュー ブックレビュー

原題 Odyssey of the Gods: The Alien History of Ancient Greece
著者 Erich Von Daniken
分野 考古学/天文学/オカルト
出版社 Element Books Ltd
出版日 2000/7
ISBN 978-1862047495
本文 ゼウス、ポセイドンなどをめぐるギリシャ神話はただの作り話なのだろうか。もし、それらがれっきとした史実に基づいていたとしたら? すなわち、神々の正体は太古の昔に地球に来訪した宇宙人であり、神話の奇想天外なエピソードは宇宙人たちの驚くべき能力を寓話化したものだとしたら? 本書では、「古代宇宙飛行士説」の大家である著者デニケン氏がその謎にせまる。

たとえば、ギリシャの叙事詩に登場するアルゴナウタイという英雄たち。彼らは空飛ぶ金色の羊の毛皮を求めて冒険の旅に出たとされるが、ただの作り話では片付けられないほど謎の多い物語だ。火を噴く牛、島を守るロボット、沈まない船、熱を防ぐ防具……見方によっては現代の技術を連想させる。また、ギリシャ神話に多い「空を飛ぶ乗り物」というイメージはインドの『ラーマーヤナ』にも共通するなど、神話の元となった何らかの史実が存在すると思わずにはいられない。古代ギリシャの都市間の距離が計算されたとしか思えない数値なのも驚かされる。

また、本書で大きなテーマのひとつとなっているのがアトランティスだ。謎の多い古代都市としてのイメージがあるのに、神話や叙事詩ではほとんど名前を見ない。ならば、アトランティスは実はトロイの別名なのではないか? そもそも、アトランティスの伝説を広めた「犯人」は誰なのだろうか。沖縄の海底遺跡も謎の一部として言及されている。

プラトンは、地球上の人類が絶滅と再生を繰り返してきたと主張するが、その影には宇宙人(神々)の存在があったのかもしれない。読者のロマンをかきたてる一冊。