原題 | Unequal Health: How Inequality Contributes to Health or Illness |
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著者 | Grace Budrys |
分野 | 社会疫学/健康医学/公衆衛生 |
出版社 | Rowman & Littlefield Publishers |
出版日 | 2010/1 |
ISBN | 978-0742565074 |
本文 | 医学の進歩だけが健康に寄与するわけではない。所得や教育水準、労働の質、ストレス、近隣の人々や地域環境など、さまざまな要素が健康に大きな影響を与える。富める国アメリカの平均寿命が短いのはなぜか? どのような社会が健康に良いのか? 社会学者である著者が、これまで欧米を中心に蓄積されてきた研究、データを多数紹介しながら、アメリカの社会格差と死亡率の間に強い関係があることを示す。 この種の分野においては、はっきりとした結論を出すことは難しい。「アメリカの所得格差が、アメリカの寿命が短いことに100%関連している」と言い切ることはできない。また、「アメリカがいかに不平等な社会か」と主張することも本書の意ではない。本書はそういったことを避け、「格差社会が死亡率と大きく関連している」という仮説をサポートするために、できる限り数多くの研究事例、レポート、具体的な数字を集め、それをまとめることによって問題を提議している。誰が、どのように調査した研究かも詳しく書かれ、読者のこの分野に関する知識は一段と増える。 日本においても一億総中流時代は終わり、所得格差、教育格差が問題視されはじめている。日本が「かつて世界有数の長寿国だった国」にならないために、本書の事例を通し、日本の社会、健康について再考すべきではないだろうか。 |