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原題 Members Only: Elite Clubs and The Process of Exclusion
著者 Diana Kendall
分野 社会学
出版社 Rowman& Littlefield Publishers
出版日 2008/7
ISBN 978-074254557
本文 イギリスロンドンに端を発し、アメリカにも深く根付いているエリートクラブといわれる上流階級の社交クラブがある。クラブで所有する建物やゴルフ場、キャンプ場などの施設には「会員専用」の掲示が出され、入れるのはごく一部の選ばれた人間(主に上流もしくはアッパーミドル階級の白人男性)のみ。このクラブでは、「身内」つまり会員には種々の特権を与えるが「部外者」には一切何も与えない。「身内」で社会的地位、名誉、財産、経済的・政治的影響力を独占するのだ。アメリカ社会における不平等の原因の1つが、このエリートクラブである。

本書では、いかにしてエリートクラブが階級に基づいた特権を維持し、社会関係資本と文化資本を蓄積し、人種や民族、宗教的な差別を行ってきたか、また排他的なクラブの性格がいかに社会的不平等を広げているのかについて掘り下げている。

会員になれば特権を得られ、社会の中枢に位置でき、他人からも厳しい審査をパスした人間として見られるのだから、誰もがエリートクラブに入りたがる。こうしてエリートクラブは存続しつづけ、社会の不平等を作り出し、拡大している。近年、入会資格が差別であるという訴えが起こり、エリートクラブも規約を変えざるを得なくなっているが、21世紀になった今でもエリートクラブには社会的な意味があるのだろうか。

著者は上流階級の研究を継続的に行っており、エリートクラブの内情に詳しい。自由の国アメリカが実際にはまだまだ階級社会であることを示してみせた一冊。