原題 | Das Babylon-Virus |
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著者 | Stephan M. Rother |
分野 | 歴史ミステリー |
出版社 | Blanvalet Taschenbuch Verlag(ドイツ) |
出版日 | 2010/10 |
ISBN | 978-3442374434 |
本文 | 古書修復師のイタリア人アマデオ・フェネッリは、恩師ヘルムブレヒト教授からの手紙を受け取る。中にはバベルの塔と、そのとき神が人類に与えた厄災と贈り物の話が書かれていた。示された場所へ行くよう書いてあるが地図はない。手紙はもともと、教授に宛てられたものらしく、裏には手書きのメッセージがある。「この謎を解け。生きている間に達成できなければ、その時代で最高と思う精神の持ち主に託せ」。差出人の箇所には、アルベルト・アインシュタインのサインがあった。 そのころ世界ではインフルエンザが大流行し、多数の死亡者が出ていた。生死のわからない教授を心配したアマデオは、手紙の暗号を解き、ドイツへ向かう。謎は次の謎につながり、アインシュタインからゲーテ、ヘンデル、アレキサンダー大王へと時代をさかのぼっていく。アマデオは偉人たちの暗号の最終点に、バビロニア人のメッセージがあることを知る。それは、インフルエンザによる人類の滅亡とその治療薬の存在だった。 ダン・ブラウン、ウンベルト・エーコに勝るとも劣らないと評される、ドイツ発の歴史ミステリー。謎解きだけでなくアクションシーンも豊富で、治療薬を狙う敵と時間との闘いがテンポよく描かれる。ヴァチカンの秘密機関で働くレベッカが恋人のアマデオを守るという設定も面白い。治療薬の隠し場所、かつクライマックスの舞台となるのはアフガニスタン。世界を救う治療薬を求めて、レベッカは国際治安支援部隊(ISAF)と共に大迷宮をさまよい、敵に捕らえられたアマデオは地下の塔へ連れていかれる。黒幕のISAF最高司令官を振りきり、治療法が薬でなく電気刺激であることを突きとめるラストまで、物語は緊迫感を持って突き進む。 歴史的偉人、何千年にもさかのぼる謎、ヨーロッパ中を巡る旅、超古代文明、人類滅亡、アクションと、非常に多くの要素を含んだ、読者を楽しませようという意欲が旺盛な、エンターテイメント性の高い作品。 |