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原題 Facing Age: Women Growing Older in an Anti-Aging Culture
著者 Laura Hurd Clark
分野 社会学/女性学
出版社 Rowman & Littlefield Publishers
出版日 2010/12/16
ISBN 987-1442207608
本文 『Diversity and Aging』シリーズ第1作目。

アンチエイジングが叫ばれ、若い方がいいという価値観にとらわれている現代で、50歳以上の女性が自分の老いをどのようにとらえているかを追求した本。1997年から2007年にかけての10年間に集めたデータに基づいている。その調査は、100人を超す50歳以上の女性への300時間に及ぶインタビュー、ボトックスやヒアルロン酸注射を行う美容整形医へのインタビュー、婦人雑誌のアンチエイジングに関する広告や記事の研究にまで及んでいる。

多くの女性たちが「老い」を醜いととらえているのは、社会がつくる女性の理想像や、長年の年齢差別によるところも大きいのではないか。そんな女性たちは、メディアが生み出すトレンドを追いかけ、ボトックスの注射へと駆り立てられ、少しでも若さを取り戻そうとしている。

本書は、ただデータを分析しているのではなく、実際のインタビューそのものを数多く紹介しているため、生の女性たちの声がとても興味深く聞こえてくる。40代後半から50代以上の女性の本音が詰まった一冊。