原題 | Superpower?: The Amazing Race between China's Hare and India's Tortoise |
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著者 | Raghav Bahl |
ページ数 | 288ページ |
分野 | ビジネス/経済 |
出版社 | Penguin Books(インド) |
出版日 | 2010/8/9 |
ISBN | 978-0670084630 |
本文 | ジャーナリスト出身で、「インドのルパート・マードック」と称される著者初めての著書。目覚ましい経済成長を遂げる中国とインドを対象に、リーマン・ショック後の世界において「超大国」の地位を得る可能性を比較している。特徴的なのは両国の関係を「ウサギとカメの競争」に見立てていること。比較の対象は、植民地時代以降の歴史、都市化の背景、インフラの整備状況、経済・国営事業の民営化・外交政策、英語を話せる国民の比率など多岐にわたる。 インド出身である著者は、インドより中国が優先されがちな(両国以外からの)投資に対する問題意識から、経済・社会面を中心に両国の強みと弱みを比較。世界最高水準のインフラ投資に中国の強みを認めつつも、それ以外の面でインドが独自の優位性を有することを列挙する。そのうえで、決断力に欠けながらパキスタンと戦い続けるインド政府と、「民主化」の名で独裁体制を温存する中国政府のあり方に「超大国になる可能性への障害」という視点で警告を発している。 本書では、経済成長のペースが速い中国を「ウサギ」に例えたのに対して、人口の平均年齢の低さなどで優位にあるインドを「カメ」と見る。その一方で、外交政策に関する論考では、「鷲」(アメリカ)、「龍」(中国)、「象」(インド)という比喩を通じて二極・三極による世界共同統治の可能性を探っている。 今後、世界の注目を集め続けるであろう中国とインドを知り、将来を予測するための基礎知識が満載の一冊。 |