原題 | The First Russian Revolution |
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著者 | Susanna Rabow-Edling |
ページ数 | 320 |
分野 | 歴史、政治 |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2025/04/01 |
ISBN | 978-1836390213 |
本文 | 今のロシアに必要なのは、政治体制、社会経済を根本的に変える革命だと言う人もいる。ロシアの歴史において、最もよく知られている革命は、1917年に起きたロシア革命だろう。しかし、ロシア革命は突如として起こったものではなく、そこへとつながる数々の動乱があった。その一つが、1825年に起きたデカブリストの乱である。 1825年12月14日、陸軍将校らが3000人の兵士を率いてサンクトペテルブルク元老院広場に集結した。デカブリストと呼ばれる彼らは、立憲君主制、代議制の設置、農奴制の廃止などを求めて蜂起した。これは、専制政治の廃止と自由主義を求めた、ロシアで最初の組織的な反乱である。また、2週間後には、ウクライナにおいても同様の蜂起がおこる。しかし、どちらも失敗に終わり、その後、反動的に統治が強化されることとなる。西欧の歴史家からは、単なる失敗に終わった反乱だと軽視されがちだが、デカブリストらの理想は、その後の反帝国主義思想へと受け継がれ、後のロシア革命運動の基盤となる。 デカブリストの乱とはそもそも何だったのか。なぜ起きたのか。デカブリストとはどのような人々だったのか。エリートである彼らは、なぜ自らの身を危険においてまで体制の変革を求めたのか。彼らが求めた社会とはどのような社会だったのか。デカブリストの乱はなぜ失敗に終わったのか。デカブリストとその家族にはどのような処遇が待ちうけていたのか。これらを本書は明らかにする。 また、本書は、ロシアの政治思想の中であまり注目されることのない自由主義思想に注目している点で興味深い。さらに、デカブリストの乱を率いた将校らとその妻たちの過酷な体験についても詳しく語られている。この視点は、女性の政治的役割の研究に注力している著者ならではのものである。 |