原題 | Tastes and Traditions |
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著者 | Nathalie Cooke |
ページ数 | 240 |
分野 | グルメ、歴史 |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2025/03/01 |
ISBN | 978-1836390671 |
本文 | メニューは単なる料理のリストではない。いつ・どこで・誰が・何を食べたかに関する貴重な記録であり、文化的・芸術的な価値を持つ文書なのだ。メニューとは何か? メニューには何が載っているか? メニューの役割とは? これらの疑問に答えるべく、本書では18世紀のメニューからコロナ禍のメニューまで、はたまた高級レストランのメニューから刑務所のメニューまで多種多様なメニューを取り上げ、豊富なカラー写真と筆者の鋭い分析とともに、その歴史を6つのテーマから読み解いていく。 例えば、第1章には見る者を楽しませるメニューが登場する。ルイ15世の晩餐会の華やかなメニューや、ロートレックがイラストを描いたメニューを例に挙げ、緻密な印刷技術と芸術的なデザインが生んだ作品としてメニューを論じる。また、とんかつ和幸の店頭ディスプレイやコロナ禍で広まったQRコードでの注文といった、現代のメニューについても言及する。第4章では、消費者階級の登場と可処分所得の増加によって出現した、比較的新しい存在である子ども用メニューについて取り上げる。子どもを大人しく椅子に座らせておくためのメニューの工夫や、子どものみならず保護者をターゲットにしたメニューにも着目する。 そのほか、食事の場で使用されたあとも個人や組織によって大切に保管されてきたメニュー(第2章)、万博での各国のメニュー等にみる異なる食文化との出会い(第3章)、メニュー上の嗜好品の扱いやカロリーに関する文言などからわかる健康意識の変化(第5章)、食べる前に問題を解かせたり食べる者としての責任を考えさせたりする、好奇心を刺激するメニュー(第6章)といった、複数の切り口からメニューの歴史を論じる。 メニューは時代とともに変わりゆく流行や社会規範を映し出す。本書に登場するメニューの数々は読者の食欲と想像力をかき立て、ガストロノミー(美食学)の枠を超え、美的感覚、社会史、マーケティングなど、読者をさまざまな分野の探究へ誘うだろう。 |