原題 | The Four Cornerstones of Financial Wellbeing |
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著者 | Chris Budd |
ページ数 | 192 |
分野 | 金融、自己啓発 |
出版社 | LID Publishing |
出版日 | 2023/07/20 |
ISBN | 9781911687764 |
本文 | 宣伝やメディアは、今持っていないものを買うよう見る者を誘導する。今した消費は、現在の自分と未来の自分に、意味と目的を与えてくれるだろうか? その判断は、闘争・逃走反応に長く支配されてきた。反応ではなく熟考することで現在と未来を決めようとするようになったのは、人類史上、年金制度ができた、たかだかこの数十年のことだ。お金と未来と幸福との関係に、実は我々は慣れていない。うまくいかなくても、しかたないのだ。 本書は、お金との関係を見直し、より健康的で意味のある人生を送るためのガイドである。単なる資産形成の手引きではなく、お金を幸福と健康のための道具として活用する方法を提示する。著者はその方法を「ファイナンシャル・ウェルビーイング」という概念を4つの柱で説明する。 1. 一般的な真理:人間は本来皆善人であり、幸福の50%は自分でコントロールできるという原則 2. 自己理解:個人固有の幸福の源泉を理解し、内発的な動機を見出すこと 3. 行動経済学:お金に関する意思決定における人間の行動パターンを理解すること 4. 個人の障壁:お金に関する自己制限的な信念を認識し、克服すること 著者は、お金に関する意思決定の多くが二重過程理論の「システム1」(直感的思考)に基づいており、それが必ずしも最善の結果をもたらさないこと、より良い判断のためには「システム2」(論理的思考)を活用し、自分の価値観や目標に沿った意思決定を行う必要があると説く。 本書の特徴は、理論的な説明だけでなく、実践的な演習が豊富に含まれていることだ。読者は自身のファイナンシャル・ウェルビーイング計画を段階的に作成できる。また、ファイナンシャル・アドバイザーにとっては、顧客との関係をより深め、より良いアドバイスを提供するためのガイドとしても有用である。 著者は将来への期待が現在の幸福につながることを説明し、その具体例として新車購入時の納車待ちの期待感や、クレジットカードから現金支払いへの移行など、実践的なヒントも多く提供している。これらの提案は、お金との関係を改善し、より充実した人生を送るための具体的な一歩となるだろう。 |