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原題 How to Be an Imperfectionist
著者 Stephen Guise
ページ数 223
分野 自己啓発
出版社 Selective Entertainment LLC
出版日 2021/10/30
ISBN 978-1956980011
本文 完璧主義に悩む人は、自分が完璧主義であることを自覚している。そして、問題解決を求めて完璧主義に関する本を読むが、多くの本は、1冊の中に多くのアドバイスをランダムに散りばめ、読者は一夜にして変化を自分の生活の中に取り入れる方法を考えさせられる。完璧主義者は良いアドバイスを一度に実行しようとするが(だから、完璧主義者なのであるが)、まずもって無理である。そこで、自身が完璧主義の傾向があり、その苦しさを知り尽くしている著者が人生における不完全さを受け入れる方法を指南する。

本書はまず、完璧主義について検証することから始まる。そして、完璧主義の考え方をさらに深く掘り下げて、完璧主義者に共通の思考パターンと完璧主義になる根本的な理由を特定し、完璧主義のマイナス面を探る。完璧主義について十分に分析したあと、不完全主義について検討する。そうすることによって、ようやく、私たちはなぜ完璧主義者なのか、なぜ不完全主義者である方がよいのかを理解することができるようになる。次に、行動修正の科学を用いて、簡単だが高度に戦略的な「小さな行動」によって、完璧主義を徐々に無理なく「手放す」方法を示している。本書の優れているところは、解決策と応用例がすべて最終章にまとめられている点である。各章で述べた結論をすべて実行可能な「小さな習慣」に落とし込み、無理なく日常生活に取り入れるためのフレームワークが紹介されている。

私たちは幼い頃から、線の内側に色を塗るように指示され、はみ出すことはいけないと教えられてきた。そして大人になってもはみ出すことを恐れるあまり、他人の評価を常に気にして頑張りすぎてしまう。本書は、各章が内容を説明する漫画で始まっているなど、単に教育的なものではなく、楽しませるために書かれていて、頭でっかちになってしまった私たちに対して、行動を変えれば、おのずと考え方も変わり、人生が変わることを教えてくれる。失敗を反芻してしまう人、やりたいと思っても先延ばしにしてしまう人、習慣を変えることができずに行き詰っている人にぜひ読んでもらいたい1冊である。