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原題 Insurmountable Risks: The Dangers of Using Nuclear Power to Combat Global Climate Change
著者 Brice Smith
ページ数 429ページ
分野 原子核物理学
出版社 RDR Books
出版日 2006/4/1
ISBN 978-1571431622
本文 核エネルギーの利用と、二酸化炭素排出量の削減と、果たしてどちらのほうが費用がかかるだろうか。世界全体で原子炉を毎週1基建てていくとしたら、大惨事が発生する危険性はどうなるのだろうか。そして、核廃棄物は言うまでもなく、核の拡散や、テロリストによる核施設への攻撃という問題も無視できない。

本書は、地球温暖化の問題に取り組むために核エネルギーを使用することの危険性を取り上げ、細心の注意を払って、その調査と分析を行っている。もし、核エネルギーのほかに選択肢がないとすれば、地球規模での気候変化という、人類やその他の種が直面している大きな脅威を退けるためには、その使用もやむを得ないということになってしまうだろう。しかし本書には、より安全性の高い、経済的な選択肢が存在することが、確信をもって示されている。

温室効果ガスを排出しないからといって、核エネルギーが地球温暖化から人類を救うための唯一の答えであるとはいえない。地球温暖化に対抗し、安全で、経済的な社会を築くための別の道がある。