原題 | British Comics |
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著者 | James Chapman |
ページ数 | 304 |
分野 | 社会/歴史/メディア |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2024/07/01 |
ISBN | 978-1789149128 |
本文 | 漫画と社会の関係が興味深く書かれたあの書籍がペーパーバックで戻ってきた!本書は、英国のビクトリア朝後期から現代に至るまで、注目を浴びてきた英国の漫画や掲載雑誌を紹介し、その時代の社会における位置づけを示している。少女漫画、少年漫画、アドベンチャー物語、スポーツ系、戦争など、さまざまなジャンルについて取り上げている。漫画を歴史的に追究することで話題を呼んだ書籍が、このたびペーパーバックとして新たに出版されることになった。 英国の漫画の歴史は、ビクトリア朝後期にまで遡る。当時、「愛すべきならず者」として人気を博したアリー・スローパーというキャラクターは、時代を代表する大衆文化の象徴だった。マグカップや時計、ポストカードなどのスピンオフ商品を生み出した、英国で最初のキャラクターだった。1950年代になると、ティーンエイジャー向けの漫画雑誌である『Eagle』が創刊された。第二次世界大戦直後の苦しい時代であったが、同誌はさまざまなジャンルの作品を掲載するようになり、100万部近く売れるようになった。1970 年代には、アクションシーンの多い漫画が好まれるようになった。この頃創刊された『2000AD』は、サイエンスフィクションの要素も取り入れたためか、ティーンエイジャーだけでなく、大人にも読まれるようになった。『WATCHMEN』で有名な英国出身のアラン・ムーアも、同誌に寄稿していたことがある。やがて1980 年代になると、『Warrior』、『Crisis』などの成人向けコミックが多く読まれるようになる。 残念ながら英国では、漫画の文化的要素が軽視されがちな雰囲気が漂っていると著者はいう。本書を通じて、漫画の作者、出版者や読者などの視点に立ちながら漫画の歴史をふり返り、英国の漫画には、米国、フランス、日本のものとは異なる独自のアイデンティティがあると主張している。さらに、漫画は単なる想像の世界に浸るためのエンターテインメントという役割だけでなく、時代を映し出す鏡になっていることを示している。本書は、すべての漫画ファンとコレクターにとって有用な参考資料になるはずだ。漫画が果たしてきた重要な役割を知るための貴重な書籍である。 |