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原題 French Fry Leadership
著者 Bruno Hilgart
ページ数 124
分野 ビジネス自己啓発
出版社 Koehler Books
出版日 2023/06/13
ISBN 979-8888240069
本文 「フライドポテト(french fry)・リーダーシップ」とは何だろう? それはチームのメンバーが、自分でも考えたことのないくらいの情熱をもってフライドポテトを作れるようにすること。つまり、日々の小さな業務にもモチベーションを持てるような環境を作るということだ。

裕福ではない家庭環境で育ち、16歳でファストフードチェーンのバーガーキングでアルバイトを始めた著者は、20歳で店長になり、その後キャリアを重ね、やがて同社のマネジメント部長を務める。担当店舗で他店より20%高い売上げを記録し、従業員の離職率を業界平均の3分の1にした経験も持つ。そんな著者のマネジメントのコンセプトは、「人を育てることが利益を育てる」というシンプルなものだ。30年以上にわたり業界のあらゆる階層に身を置いてきた経験から、本当の「サーバント(奉仕型)・リーダーシップ」とは何かを掘り下げ、いかにしてメンバーにモチベーション高く仕事に専念してもらうかを説く。例えば以下のようなものがある:
・チームメンバーに、自分たちは重要な存在であり尊重されていると感じてもらう
・言葉を重視する(例:「食事を顧客に提供する」ではなく「ゲストをもてなす」)
・人は仕事を辞めるのではなく、上司から去っていく
・言行不一致はリーダーがもっともやってはいけないこと

確かな現場経験と実績に裏打ちされたアドバイスは、決して難しいものではなく、どんな業種にも適用できる。文章も分かりやすく、コンパクトで読みやすい。十分なリーダー研修を受けられないままポジションに就くリーダーは多いと著者はいう。まさにそんな悩めるリーダーにうってつけの内容だ。ファストフードのように手軽かつ普遍的な、誰もが共感し頷ける正当なリーダーシップ論で、気付きを与えてくれる一冊だ。