原題 | Brain over Binge |
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著者 | Kathryn Hansen |
ページ数 | 330 |
分野 | 精神医学/自己啓発/脳 |
出版社 | Camellia Publishing, LLC |
出版日 | 2022/03/31 |
ISBN | 978-0984481774 |
本文 | 長年にわたって過食症に苦しんだ末、自ら道を切り開いてついに過食症と決別した著者がその経験を語る。本書は単なる回顧録にとどまらず、過食症、むちゃ食い、治療法について当事者の立場から科学的洞察を示し、回復への新たなアプローチ、「ブレイン・オーバー・ビンジ(むちゃ食いは脳が制す)」を提案する。 過食症については、根底に隠れた心の問題が存在し、その対処手段として生まれたのが過食行動であるというのが主流的な見地だ。これに対し、自己体験とリサーチから筆者が至った考え方はずっとシンプルである。過食症は、生存本能ゆえに起こる一時的な脳の配線ミスであり、本質的な問題は心ではなく過食衝動そのものにあるというスタンスだ。 過食をさまざまな心の問題から切り離してとらえ、過食衝動を神経系が出したゴミ情報とみなし、脳の高次な部分を使って衝動を観察し、衝動に応じないことを繰り返すことで脳の配線を修正できるというアイデアを実践し、筆者は過食症克服に成功する。本書ではそのプロセスが詳細に語られ、従来の治療の不十分な点や回復の妨げについても論じられている。 摂食障害の渦中で、克服したら本を書こうと誓った筆者は2011年に初めて著書を出版する。本書はその改訂版であり、新情報や読者の成功談なども盛り込まれている。摂食障害に悩む人たちが新しい視点を持ち、自力で衝動に打ち勝てるようになってほしいと筆者が心から願っていることを文章の随所から感じ取ることができる。脳の働きなど科学的な解説部分はふんだんな例とともに平易な言葉で説明されている。参考文献の内容を自身のケースにあてはめながら進める理論展開は非常に説得力がある。これからも多くの共感を誘い、力を与え、人生を助ける一冊となるだろう。 |