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原題 The Gift of Self Love
著者 Mary Jelkovsky
ページ数 192
分野 自己啓発/メンタルヘルス
出版社 Blue Star Press
出版日 2021/03/23
ISBN 978-1950968275
本文 著者は米国在住の白人女性で、本書刊行時は二十代前半の大学生。両親はロシアからの移民だが、著者は米国生まれの米国民だ。容姿端麗で十代後半にはビキニフィットネスモデルになり、大学の学費が全額免除になるほど優秀だった。だが常に完璧を求めるあまり、理想の体型というイメージにとらわれ、摂食障害に苦しんでいた。その後ありのままの自分を認めて摂食障害から回復すると、自分を無条件に愛すること(自己愛)の大切さに気づく。そしてオンライン・プラットフォームで自己愛を提唱し、女性向けリトリートを主催するようになる。
こうした自らの経験を明らかにしつつ、著者が自己愛の大切さを説き、他者からの評価に惑わされず等身大の自分を愛する具体的な方法を記したのが、ベストセラーとなった本書『自己愛という贈り物:自分に自信を持ち、自分の価値を認め、自分を愛せるようになるワークブック (仮邦題)』だ。自分を愛して自分の人生を生きれば幸せを感じるようになり、自己愛という贈り物を他者に広め、他者と助け合うことになるという。
親友への手紙を書くように執筆したというだけあって、本書は簡潔明瞭で読みやすい。各章には著者の問いに対して読者が自分の考えを記入する欄があり、57ページ分を占めている。本を読むという受動的ともいえる行為に自分の考えを書くという能動的な行為を加えることで、読者が自分を認め、大切にする一歩を踏み出せる構成になっている。
著者の経験は劇的だ。自己愛に関するポッドキャストの配信やリトリートの主催など、著者のコーチング・ビジネスが成功している点だけでも、著者の説く自己愛の大切さには説得力があるが、さらに本書では、専門家の研究や統計など第三者による論拠も示され、持論が補強されている。時おり挟まれる「補足」では少数者への配慮や、誤解を招きやすい表現の説明がなされ、多様な視点から物事を捉える姿勢も感じられる。著者がその若さや親しみやすさ、独特な経験からSNSで人気なのは事実だが、本書で示される客観的な分析力や視野の広さがあるからこそ、著者は多くの女性の支持を得ているのではないか。
著者のポッドキャストも人気だがインスタグラムなどと同じく英語で発信されている。本書が翻訳されれば、日本語の読者にも著者の考えが伝わり、自分を愛し他者と尊重し合いながら生きていく実践的なヒントとして広く受け入れられるだろう。