原題 | HumanKind |
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著者 | Brad Aronson |
ページ数 | 256 |
分野 | 人文、社会 |
出版社 | Life Tree |
出版日 | 2020/04/14 |
ISBN | 978-1928055631 |
本文 | 妻に白血病の診断が下りた瞬間、筆者の生活は一変した。その後2年半は治療を受けている彼女のベッドの横で寄り添うかたわら、5歳の息子の目を最悪の状態の妻の姿からそらすようにやりくりして過ぎた。治療が効いてくるのを待つ間のストレスと絶望感を感じながらも夫妻は友人や家族や、さらにはまったく見ず知らずの人たちからあふれんばかりの思いやり注がれてるのに驚き、感激するのだった。 妻が回復していく過程で家族を支えてくれた「人の思いやり」の数々に背中を押されるように、筆者はつらい時間から家族を救ってくれた人々について本にまとめ始めた。それにとどまらず、日々世界のどこかでほんのちょっとした思いやりの行いが人々の人生を変えていることに気づき、厳選された逸話をここに紹介している。 片腕の少年に靴紐の結び方を教えてくれた先生。その少年はのちにメジャーリーグを代表するピッチャーに成長した。苦しい闘病生活を経験した6歳の少年は自分の病気の診断が下った日に人のためになることをしようと思い立ち、ほかの人たちにもFacebookで呼びかける。思いがけなくそれは何万回も再生され、やがて世界中から思いやりのある行いの報告が次々と上がってきた。71歳の老女は仕事を辞めた後、自分らしく社会とかかわるべく、ホームレスの衣料修繕の作業を始めた。疑心暗鬼の周囲をよそにその活動は多くの賛同者を集め、衣服のみならずホームレスの心も癒していくのだった。 このような実話の数々以外にもここには何気ない一言や行いがいかに大きな意味を持つかということが述べられている。誰かに食事をおごられたり、ここぞというときに、さりげなく励ましの言葉を投げかけられたりするだけで、その人の世界もあなたの世界も変わることがある。笑いあり、涙あり、そして最後に何が一番大事なのか思い出せてくれる本だ。 |