原題 | Sloth |
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著者 | Alan Rauch |
ページ数 | 192 |
分野 | 動物 |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2023/11/01 |
ISBN | 978-1789147995 |
本文 | ナマケモノはおそらく中南米で最も愛されている動物だろう。しかし、人気にもかかわらず、その実態はあまり知られていない。本書は、100以上の美しい写真やイラストとともに、この愛すべき生物の生物学的、文化的な歴史を幅広く伝えてくれる。 著者のアラン・ローチはまず、現代のナマケモノの種や生態を詳しく解説したあと、ナマケモノの先祖となる巨大な生物が、いかにしてこの、「のろのろした生物」へと進化し、今日の森林で生き延びるに至ったか、生物学的な歩みをたどっていく。ナマケモノ(sloth)の名がつけられたのは、そののんびりした生活が、七つの大罪のひとつでもある「怠惰(sloth)」と結びつけられたためであり、英文学にも詳しいローチは、怠惰な人間が文学においていかに表象されてきたかを分析するとともに、ナマケモノが人間の社会にどう位置づけられてきたかを考察する。 かつて怠惰な動物としてあざけりの対象であったナマケモノは、近年ではむしろそのストレスのない生活をうらやましがられ、アイドルのような存在になっている。ナマケモノのTシャツやおもちゃなど、さまざまなグッズが売り出されているし、「ナマケモノ(Sloth)」という名のガレージロック・バンドも存在するし、しかし、近年のこのようなナマケモノ人気には弊害もある。ナマケモノ見学ツアーなどの人間のもたらす影響により、ナマケモノの生息環境が悪化しつつあるのだ。ナマケモノの保護の問題についても筆を伸ばす本書は、この魅力ある動物への興味と愛をおおいにかき立ててくれるに違いない。 |