原題 | The Lean Farm Guide to Growing Vegetables |
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著者 | Ben Hartman |
ページ数 | 272 |
分野 | 農業、ビジネス、経営、環境、科学 |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2017/11/03 |
ISBN | 978-1603586993 |
本文 | 建築現場で働いていた筆者は一念発起して5エーカーの農場を購入、設備や施設を整え、果樹園も作った。トラクターと2連プラウ、手工具などをオークションで手に入れソラマメ、クローバー、ライムギを種付けた。2年目、3年目、ほかの作物の栽培にも乗り出し、近隣のレストランのオーナーからはトマトの栽培を依頼されやがて地域のトマトの供給源になった。しかし事業は拡大しつつあったものの焦点が定まらず周りにはものがあふれるだけ。何か変化が必要だと筆者は感じ始めていた。 そんな時、顧客の一人である工場主から日本のリーン生産方式について教えてもらい、農場にもそのシステムが適用できるのではないかとのアドバイスを受けた。工場のやり方が農場に合うだろうか、と当初は疑心暗鬼だったが数シーズンをかけて作業する場を整理整頓し一連の作業から無駄を取り除いた結果、今では家族のだれもがほかの仕事をしなくても農場からのあがりだけで快適な生活をすることができている。長期にわたる安定した顧客もつき仕事が負担になることもなくなった。そうなったのには5つの秘訣がある。価値を増やすような道具しか持たない。顧客に価値を決めてもらう。価値を増やすステップを特定する。価値に結びつかないむだをそぐ。継続的な改善を実行する。これらが本書の底を流れる基本的な考え方である。 5つの秘訣がたどり着くところは「圧縮すること」である。栽培する作物を思いついた瞬間から販売するまでのタイムラインの短縮。農場の面積の縮小。道具や仕入れの減少。仕事の単純化と集中化。そうしたことに必要な具体的な手立てが本書では写真入りで丁寧に説明されている。1年間の作付け計画の作成の仕方。堆肥の利用。ペーパーチェーンと移植機の活用。雑草管理の手間を省くやり方。さらに出荷や販売する際のコツなど作者の実体験に基づく知恵が満載である。 |