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原題 Changing Gears
著者 Leah Day
ページ数 256
分野 旅行、日記、心理、社会
出版社 Familius
出版日 2022/05/10
ISBN 978-1641706544
本文  筆者が4人目に授かった男の子Oakleyは生まれた時、すでに育児のコツはつかんでいる自身があった母親に向かってまるで「育児の喜びも悲しみも、めいっぱい味あわせてあげる」とでも言うように悪戯っぽく微笑みを浮かべた。彼は元気いっぱいの困った子だったし、今でもそうだ。なんでも手あたり次第食べてしまう障害、異食症があり、調整乳に対するアレルギーからの喘息を持ち、多動性、衝動性を克服するためにいろいろな医者からさまざまな手立てを与えられたが一向に効き目はない。いつもどこかに姿を消してしまう。今日も迎えに行った先には姿が見えず、雨の中を探し回ったあげく全く別の場所でようやく見つかった。せいも近も尽き果てた母親は以前から思い描いていた計画の実行を決意する。自転車でアメリカ横断の旅に出かけるのだ。
8月上旬オレゴン州アストリアからスタートした二人はまず雄大な海原を見ながら太平洋に沿って南下。やがて進路を東に変え、生い茂る森林を横切り雪をいだいた頂きの下をくぐり抜けてオレゴン砂漠に入る。ロッキー山脈を越えワイオミング州へ。コロラド州からミズーリ州、ケンタッキー州と進みやがて大西洋岸バージニア州の町ヨークタウンまで、4千3百マイルの旅だ。
 バケツをひっくり返した大雨の中延々と続く峠道を登ったり、今まで経験したことのない膝の痛みに悩まされたり。辛い山道に母に当たり散らすばかりのオークリーも峠を越えて開けた壮大な景色に思わず息をのむ。今まで何をやっても集中が続かず最後はかんしゃくを起こして放り出していたのに、パンクした母の自転車のタイヤ修理を自ら買って出て、母の心配をよそに最後まで見事にやり遂げる。二人は日を重ねるごとにお互いを知り理解を深めていく。肉体的にも精神的にも苦しく、つらいこの苦行を乗りこえた後の二人には、もう怖れるものなど何もないのだ。