原題 | Confessions of a City Girl |
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著者 | Suzana S. |
ページ数 | 288ページ |
分野 | ノンフィクション/手記/金融経済 |
出版社 | Virgin Books |
出版日 | 2009/8/13 |
ISBN | 978-0753519769 |
本文 | 「シティ」と呼ばれるロンドンの特別行政区域は、銀行・保険・証券取引所などが集中する、国際金融・商業の中心地である。そこで働く若い男性は「シティボーイ」、まれに存在する女性は「シティガール」と呼ばれる。本書は、ある1人の「シティガール」の日々の生活や経験に基づいたノンフィクションで、2007〜2009年に起こった世界的な金融危機の間、シティではどんなことが起きていたのか、その内部事情を正確に描写し、シティで働く女性が直面するさまざまな現実的課題を記録したものである。 主人公の女性スザーナは、アメリカの大学から銀行のインターンとしてロンドンに渡り、「シティガール」となる。そして、夢をかなえ、好況期に女性では珍しい証券業者の一員になった。スザーナはイングランド銀行の配下で保守的な株式仲買人のために働き、ロンドン東部の大規模ウォーターフロント再開発地域「カナリー・ワーフ」の行儀の悪い男性ブローカーたちと渡り合う。また、メイフェアのお洒落な通りにあるオフィスで、大金持ちのヘッジファンド経営者とも働いた。その間スザーナは、すべての男が自分たちは宇宙の支配者だと思う瞬間を見てきた。男たちが自分のボーナスをランボルギーニやラップダンサーにつぎ込んでいるとき、彼女は同僚として一緒にその場にいたのだ。男たちが、国家を大恐慌以来最悪の不況に陥らせたとき、スザーナは生き残るために戦っていた。シティにいる間、スザーナは何百万ポンドも儲け、そして失う。また、自分だけの「シティボーイ」と出会って結婚し、離婚するのである。 旧態依然とした男性社会に自ら足を踏み入れて孤軍奮闘し、仕事でもプライベートでも成功と失敗を経験した1人の女性トレーダーの物語は、日本の社会や女性にも通じるものがある。女性と男性社会と仕事---この問題はいまだに世界共通なのだ。スザーナは、本書の中で何がうまくいかなかったかを語り、女性こそがそれを修正することのできる唯一の存在であることを読者に示す。働く女性の実態だけではなく、ロンドン金融界に生きる人々の生活や、債券と金融派生商品(デリバティブ)の売買にまつわるさまざまな場面、世界的な不況に陥った状況の裏側などをのぞき見するような面白さを持ち合わせているため、幅広い層の関心を集めるだろう。 |