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原題 The Great Regeneration
著者 Dorn Cox , Courtney White(共著)
ページ数 240
分野 農業/食料/環境/IT
出版社 Chelsea Green Publishing
出版日 2023/03/16
ISBN 978-1645020677
本文 2021年7月は人間の歴史の中でも記録的な暑さであった。今や海水の酸化は進んでおり大気中には過去300万年で最も多量の炭素が含まれている。6度目の種の大量絶滅が進行中だ。地球上で起きている大きなそして急速な変化はほとんどが人間の力によって作り出されたものであり、人間にはこの星の気候や働きをまとめて変える力があることはすでに周知の事実だ。これには励まされる思いもする。もしも気候をある方向に変えることができるのだったら反対に戻していくことも可能だという考え方も十分できるだろう。

 瀕死の惑星を生き返らせるためにSDGs、持続可能な開発目標が国連で採択され、当面の政治課題として関心を集めているが、我々の終局の目標は持続・維持させることではなく、元に戻していくことなのだ。大気中の二酸化炭素濃度を下げ、温暖化を緩和し、砂漠化を食い止め緑の草原を取り戻す。それは我々の食糧供給を担う農業の分野でも喫緊の課題である。農業に携わりながらIT技術者でもある筆者は科学技術と農業が融合する地点を探ろうと独自の革新的研究に乗り出す。天候やコミュニティを不安定にする要素を世界規模で探り出し視覚化するツール(例えば衛星画像)を利用することによってひとつひとつの農場の枠を乗り越えた再生産的な解決策を突き止めるのだ。さらにオープンソース・テクノロジーを使ってデータ・シェアリングやネットワークを通じて健全な農業生態学的なシステムを構築できるようにするのも大事な役割である。こうしたシステムを合わせて世界中の食糧生産を管理し、これまで農業の世界を支配していた、産業全体に見られる集中管理的な構造から脱却できれば、開かれたオープンソース・テクノロジーによる再生的農業の原則を旨とし、上質な情報を農業や牧畜に従事している人たちだけでなくエコシステムを視診しようとする人たちにも届けられる世界が実現できるだろう。