原題 | Salt and the Art of Seasoning |
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著者 | James Strawbridge |
ページ数 | 288 |
分野 | 料理/グルメ |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2023/05/18 |
ISBN | 978-1915294036 |
本文 | 料理に不可欠な塩。イギリスのコーンウォール出身の敏腕シェフである著者が塩に関する知識や魅力、活用術を余すことなく披露する。 本書で指す塩とは、海のミネラルをたっぷりと含んだ天然の塩、「海の塩」のことである。大量生産され、精製する過程で大半の天然ミネラルが失われるテーブルソルトとは異なる。テーブルソルトに含まれる塩化ナトリウムの割合は99.8%である一方、「海の塩」の場合は種類にもよるが85%にまで抑えられる。塩の摂りすぎは体内のナトリウム濃度を上げるため、健康に悪いとよく言われる。第一部の最終章では誰もが気になる健康面についても触れている。人体に必要なマグネシウムやカルシウムといった天然ミネラルを含む風味豊かな「海の塩」を使えば、少量で味が決まり、人工的なナトリウムの塊であるテーブルソルトを多用するよりは健康的である。著者は、あらゆる種類の塩をひとまとめにして一概に体に悪いと捉えてしまうと、本質を見失うと指摘する。 第二部では、塩についてさらに詳しく解説し、著者のお気に入りである世界各国の様々な塩が紹介される。第三部では豆腐や豆腐カツまでも含む100種類を超える多種多様なレシピを紹介。各レシピには最適な塩の種類や調理のコツなども記載されている。また、著者は本書全体を通して「適量は人それぞれ。自分の味覚に従えばOK」というスタンスを取っている。 著者は写真家でもあるため、素材や料理、コーンウォールの風景など、色鮮やかな写真が豊富に掲載されている。内容のイメージが持ちやすく、眺めるだけでも楽しい。塩の構造や精製過程で生じるイオン変化といった化学の側面からも詳細に解説されている。トマトを半分に切り、片方には「海の塩」を、もう片方にはテーブルソルトをかけて味のちがいを比較したり、海水から塩を作ったりといった簡単な実験も紹介されており、単なるレシピブックにとどまらず、塩についての知識を深められる充実した一冊となっている。 |