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原題 The Pirates’ Code
著者 Rebecca Simon
ページ数 304
分野 歴史(海事史)
出版社 Reaktion Books
出版日 2023/05/01
ISBN 978-1789147117
本文 海賊と聞くと、眼帯をして短剣を振り回して暴れながら、宝の山を探し回っているようなイメージが昔からある。最近では、マンガやアニメ、テーマパークのアトラクション、映画などに出てくる海賊を思い浮かべる人もいるかもしれない。
本書でとりあげる18世紀に実在した海賊は、そんなイメージとは少し違うようだ。海賊は、常に危険な行為をし続ける集団であり、命を落とすことも多かった。よって、集団として生き残るためには、一人一人が決まりごとに忠実に従う必要があった。本書では、そんな海賊ならではの独自の「掟」に迫る。

略奪から得た金品の振り分け方、怪我を負ったときの補償、懲罰、さらには船上で許可される娯楽まで、すべては掟によって決められていた。掟は海賊同士で広まるようになり、仲間が集まる前で掟を守ることを誓うことがあたりまえになっていった。

本書は、目撃証言や裁判手続、海上運行記録などの一次資料の綿密なリサーチをもとに執筆されている。海賊の掟ひとつひとつが、戦わなければならないときも、航海するときも、陸上に立ち寄るときも、常になくてはならないものであり、海賊たちは、この掟のおかげで生き抜いてきた。これは、その様子を詳らかにし、実在した海賊の本質に迫る書籍である。