原題 | STFU |
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著者 | Dan Lyons |
ページ数 | 256 |
分野 | 人間関係/コミュニケーション |
出版社 | Harper Collins |
出版日 | 2023/03/07 |
ISBN | 978-0008520816 |
本文 | アメリカの法律家だった故ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏は1993年、ビル・クリントン元大統領に連邦最高裁判事に指名された。それから逝去するまでの27年間、性差別の撤廃などを求めるリベラル派として活躍し、アメリカの司法に大きな影響を与えた。そんなギンズバーグ判事は多弁とは裏腹に、沈黙の大切さをよく理解していた。彼女の当時の担当書記官によれば、ギンズバーグ判事は重要項目について論じるとき、要所ごとに数秒の沈黙の間をとるよう意識していたという。 『雄弁は銀、沈黙は金。(Speech is silver, silence is golden.)』19世紀イギリスの歴史家トーマス・カーライルが広めたといわれる言葉だ。沈黙が発話より価値あることを意味する。日本にも『口は災いの元』という成句があるように、不用意な発言やしゃべりすぎが災いした経験は、洋の東西を問わず、多くの人に共通するものだ。 そんな苦い思いをしないために、本書は沈黙の効用について解説していく。著者は新進気鋭のジャーナリストとして、数多くの新聞雑誌記事の取材執筆を行ってきた。弁が立つことが求められ、人に嫌な質問をする機会も多かった。ところが後に勤務することになったスタートアップ企業では、そのジャーナリスト気質がたたり、組織内でうまくいかなかった。そうした失敗をキッカケに、筆者は沈黙の大切さに気づいた。 本書はまず、しゃべり過ぎてしまう人を6種類のタイプに分類し、それを改善していく6つの原則を紹介していく。沈黙の原則を守れば、生活全般によい流れが生まれ、周囲の人々との関係が良好になると著者はいう。朴訥さや口下手もプラスに働くというわけだ。 冗舌で痛い目を見たことのある人はもちろん、逆にしゃべりは苦手で、口下手さにコンプレックスを抱いているような人にも薦めたい一冊だ。 |