原題 | THINKING IN PICTURES |
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著者 | Michael Blastland |
ページ数 | 276 |
分野 | 社会、哲学、心理、思想、倫理、脳科学 |
出版社 | Atlantic Boooks |
ISBN | 978-1838957469 |
本文 | 最近よく読まれている評判の一般向け科学書籍を、書棚から抜き出してみると…。理性と知性が高まり、明敏な頭脳にしてくれるとお墨付きの作品が次から次へと見つかり、リストはどんどん長くなる。それを前にして、筆者はふと思う。どれも「賢い思考」というジャンルに当てはまりそうな著作だが、はたしてこれらを読んで、私たちは賢くなったのだろうか?社会は?世界は?もしそうでないのだとしたら、いったい何が原因なのだろう。筆者はふと思いつく。それを解く手がかりは絵だ、と。 絵には、言葉とはまた違った強みがある。アイデアが具体化され、一目でわかるようになったり、要点が簡潔に伝わったりする。アインシュタインも「もし絵に描けなかったら、理解できていないということだ」と言っている。アイデアのエッセンスがそこにあると言ってもよい。ただそれは心に残るようなものでなければならない。多くの場合、絵はさらに次の高度な思考へ行くための架け橋役であるからだ。 そこで筆者は自ら絵を用いて、「賢い思考」の世界を私たちに見せてくれる。例えば、トンボの写真を使って、物事を多角的にみることをイメージさせてくれる。ランダムな点が散らばっている絵からは私たちが陥りやすいバイアス、特に確証バイアスがいかに「賢い思考」の妨げになっているかを説く。羊の写真や奴隷船の写真を用いて、我々を戸惑わせる名人である数字が生のままでは意味がないこと、数字を文脈に落とし込むことの大切さを説明していく。 自らのラジオ番組を持っているという筆者の口調は軽快で、ユーモアもある。一方、多くの実例も併せて紹介されており、絵を使って物事を考えるという新しい切り口をわかりやすく示してくれている。 |