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原題 THE ANTHROPOCENE COOKBOOK
著者 Zane Cerpina & Stahl Stenslie
ページ数 272
分野 農業、環境、バイオ技術
出版社 The MIT Press
出版日 2022/10/18
ISBN 978-0262047401
本文 技術、食料状況、創造的思考を生かして、気候変動に左右される未来にどう備えるべきか。この課題を追求しているプロジェクト、60件以上を紹介した書籍である。

人新世(Anthropocene)と呼ばれる、人為的気候変動に悩まされているこの時代は、大災害が重くのしかかり、やがて暗黒時代になっていくかもしれない。地球規模での非常事態だが、本書は建設的な変革や新しい概念をつくるよい機会だと捉えている。これからも続く環境危機の時代をどう生きのびていくのか。繁栄を維持するためには何をすべきか。将来起こりうる苦難にどう対応するべきか。答えを導き出すため、技術、食料状況、創造的思考を生かした60以上のプロジェクトを紹介し、来るべき未来へ備えるよう提案している。アイデアの宝庫である本書は、食事の習慣や伝統を見直し、食事のタブーにも切り込んでいる。さらに、人類の生き残りをかけた新たな料理を紹介している。
本書にあるメニューは、昔からの料理に代わるような、創造的な活動をもたらす斬新たなものだ。人間の体が今までできなかった繊維素の消化、食用プラスチックの実現、風味としてのスモッグ活用化、排水溝から薬剤の抽出、実験室で食肉生産などを想定している。少し過激に映るかもしれないが、人のバクテリアからチーズをつくり、藻と共益関係を構築することで人工光合成を可能にし、食のために絶滅種を生き返らせるようになるとどうなるのかも研究されている。創造的で取り組みやすいことに主眼を置きながらも、実に多種多様な知見から生み出されたものであり、多角的な見地が含まれている。本書は、ちょっと風変わりな指針だが、将来に向けて生き残っていくための食のあり方を示している。