原題 | Hope and Fear |
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著者 | Ronald H. Fritze |
ページ数 | 404 |
分野 | 心理、歴史、社会 |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2022/03/11 |
ISBN | 978-1789145397 |
本文 | 実は、イギリスのエリザベス女王はトカゲの姿をした宇宙人が変身しているのだ。この宇宙人は、時々地球人のDNAを体内に注入しなければその姿を維持できない。ダイアナ妃がロイヤルファミリーに加わったのはそのためである。二人の王子が誕生し、用の無くなった王妃は消されてしまった。 こんな話を誰が信じるのだろうか。冷静に考えればありえないことなのに、まことしやかに語られると、ひょっとしたらそんなこともあるのかと思ってしまうかもしれない。いや、「ひょっとしたら」、どころか、世の中にはそうと信じて疑わない人も大勢いるのが現実だ。オバマ大統領にもそんな話がついて回る。彼がキリスト教徒ではなくイスラム教徒であるとする陰謀論は根強い。人間だけではない。「エリア51」といえば、墜落したUFOを運び込み、宇宙人と共同研究をしているとの風説があるアメリカ空軍基地だ。9・11のテロはアメリカに反アラブの感情を呼び起こそうとしたイスラエルの情報機関、モサドの仕業であるという説もある。最近のコロナ禍でも様々な陰謀や風説が飛び交っている。 人々はなぜこんな胡散臭い話を信じ込んでしまうのか。筆者は進化生物学や認知心理学を用いて説明する。我々人間の持っている特性がそうさせるというのだ。例えば、「動作主性」や「パターナシティ」、ナルシズムといったものである。人間は生まれつき感覚器官を通じて受け取った情報からパターンを読み取るようにできている。いわば一見、意味のないものから意味を作り出そうとする働きだ。生きる上で必要だったこの能力が、陰謀論や風説を生むのに一役買ってしまっているというのだ。 さまざまなきめ細かい分析を通じて、筆者は人々をひきつけてやまない、根強い風説を解説していく。情報が氾濫する一方、フェイクと真実の垣根があいまいになってしまった現代に対する、警鐘の一冊である。 |