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原題 Killing the Killers
著者 Bill O’Reilly
ページ数 288
分野 社会、国際関係、軍事、時事
出版社 St. Martin's Press
出版日 2022/05/03
ISBN 978-1250279255
本文  世界貿易センターのビルが崩れ落ち、ペンタゴンが火に包まれ、飛行機の中では数人の乗客が死への飛行を何とか回避しようと必死の行動に出る。あの9月11日からすでに20年以上が経過した。その間にアメリカは泥沼の戦いに足を踏み入れ、テロ組織は増殖し、アメリカ、イギリス、フランスなど、世界の各都市で多数の無関係の市民がテロにより命を落とした。本書はテロリズムに対する闘いの記録である。

 9/11からちょうど10年後、パキスタン北部にアメリカ軍のブラックホークヘリコプターが暗闇の中舞い降りた。中から出てきたのは特殊部隊SEALsの隊員たち、向かう先には囲いを巡らした広大な敷地。そこにはいくつかの建物があり、その一つに、9/11の首謀者、ウサマ・ビン・ラディンが妻とともに眠っていた。急襲を受け、このテロリストはさしたる抵抗もできずに、特殊部隊員の一人によって頭部を撃ち抜かれ死亡した。彼の遺体はヘリコプターで海上に待機する空母へと運ばれ、海に葬られた。これは、墓が後に「テロリストの聖地」となることを防ぐためであった。

 悪名高きテロリストの死は世界から歓迎され、テロとの戦いもひと段落つくかと思われたのもつかの間、むしろこれが始まりであった。中東各地ではアメリカをはじめ西側諸国の市民が相次いで誘拐され、巨額の身代金を要求された。要求をのんだ国がある一方で、アメリカは国内のテロ対処法の規定により、テロリストの軍資金となる身代金の支払いを拒否したため、人質が相次いで処刑され、その動画が公開されたものもあった。フランスのパリや、イギリスのロンドンのような大都市での同時多発テロは世界を震撼とさせた。アルカイーダのみならずISILやガーソム・ソレイマーニー率いるイラン革命防衛隊などが入り乱れ、混迷を深めていく。アメリカはそれまでの他国領土に武力行使は行わないという方針を再検討せざるを得ない状況に追い込まれた。