原題 | Into the Impossible |
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著者 | Brian Keating |
ページ数 | 176 |
分野 | Lioncrest Publishing |
出版社 | DROPCAP |
出版日 | 2021/09/28 |
ISBN | 978-1544523491 |
本文 | 本書には、世界最高の知性と言えるノーベル物理学賞の受賞者9人のインタビューが収められている。そのような天才とは自分は無縁と考えてしまうかもしれないが、本書を読めば、決してそんなことはないとわかるだろう。 各章の冒頭では、それぞれのノーベル賞受賞者の経歴・実績が著者によって簡単まとめられ、物理学の先端に触れることができるが、本書の目的は物理学の紹介ではく、専門的な知識も必要としない。インタビューの話題の中心になるのは、世界最高の科学者たちがどのようにして創造性に満ちた仕事をしてきたかである。 特に強調されるのが、共同作業の重要性だ。ノーベル賞を獲得するような研究は、ひとりでできることではなく、研究チームを率いて共同作業を行うことが必須である。そこで重要になるのが、ソフトスキル、つまり適切な人間関係を築くコミュニケーション能力だ。優れた研究実績を上げるのに必要なのは、天才のひらめきではなく、意外にも、地道な研究を持続的に行うモチベーションをかきたてる力なのである。 部下を率いて創造的な仕事を行いたいと思っている社会人にとって、本書は大きなヒントを与えてくれるだろう。各章の末尾では、著者がそれぞれのインタビューから得られた教訓をまとめてくれており、実践的なアドバイスの書になっている。 また、インポスター症候群(自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向)に悩まされている著者は、ノーベル賞を獲るような物理学者でさえ同じ症状と闘っていることを知って慰められる。天才と思われる研究者のそういった人間らしい一面を知ることもまた、読者に勇気を与え、大きな励ましとなるだろう。 |