原題 | ONCE UPON A TOME |
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著者 | Oliver Darkshire |
ページ数 | 256 |
分野 | エッセイ、その他趣味 |
出版社 | Bantam Press |
出版日 | 2022/09/08 |
ISBN | 978-1787636040 |
本文 | Henry Sotheran Ltd(ヘンリーソテラン)は1761年に英国で創業した最古の書店。長きにわたり、シェークスピアの作品を始めとして希少な品々をコレクターと取引してきた実績がある。 ロンドン中心部、サックヴィル通りにあるそんな古書店の店舗を著者のオリヴァー・ダークシャー(Oliver Darkshire)は訪れた。前日にネットで見つけた書店見習い募集の面接を受けるためだ。当初、ここで働くのは1年限りにして、もっとまともな給料がもらえるキラキラしたキャリアを歩み出すつもりだった。ところが、古書の魅惑的な香りに酔いしれ、まもなく、山積みになった初版本を崩さないように古書店員として仕事に奮闘する毎日が始まる。気づけば5年の月日が流れていた。 「異常」と「奇妙」が最高の賛辞となる古書店の世界、「ヘンリーソテラン」は、貴重な文芸作品の宝庫であると同時に、そこでは長い棒で90代の未亡人を追い払うといった出来事がおこり、住み着いた故ソテラン氏の亡霊(彼は店舗の近くで路面電車にはねられて死んだそうだ)の機嫌を損ねないよう気を遣ったりと、数々のエキセントリックな出来事が起こる書店だった。 そこに集うのもやはり奇妙な人々。希少本へのちょっと危ない趣味をもった同僚、知識や珍品を探し求める熱狂的なコレクター、中には話し相手を探しにやって来て「表紙が人の皮で作られた本」について4時間も話し込んでいった客もいた。 セントラル・ロンドンに実在する古書店で著者が体験したコメディードラマよりも奇妙な色とりどりのエピソードを、辛口の皮肉と深い愛情を織り交ぜた短編で愉快に紹介していく。加えて、あまり知られていない古書店に伝わる仕事や取引の裏側をのぞくこともできる。本をこよなく愛する人(ビブロフィリア)に贈るユニークな一冊。 |