原題 | Story Mode |
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著者 | Trevor Strunk Ph.D |
ページ数 | 249 |
分野 | ゲーム、サブカルチャー、批評、文芸 |
出版社 | Prometheus Books |
出版日 | 2021/11/15 |
ISBN | 978-1633886803 |
本文 | Twitchなどのプラットフォームでビデオゲームを観戦するだけで満足している人たちは増えている。一世代昔の人々からは理解できない感覚だ。ゲームを自分でプレーするのと同じくらいに観戦をすることで楽しめるようになったのは、ゲームが変わったからだろうか。それとも、私たちのゲームに対する捉え方が変わったからだろうか。 ビデオゲームが初めて世界に登場してから時を経て、保守的な立場を取る人たちからも次第に受け入れられるようになった。しかしながら、ゲームは現実の「模倣」に過ぎず、その模倣は若者を混乱させる効果しか持たないという批判の声も未だにあげられている。 しかし、小説や映画でさえも、その黎明期は保守的な人々からの反発を受けてきた。ビデオゲームに特有な模倣という行為には批判の声もある一方で、「模倣」こそが現実と違う未来を描く唯一の方法であり、その未来は保守的な意味にも、革新的な意味にもなり得ると筆者は主張する。ビデオゲームを一つのメディアとして抽象的なレベルで捉えた時、ゲームには文化的な存在価値があるというのである。 世界中で流行ったゲームタイトルを、筆者の批評の俎上にあげながら、ゲームの可能性や未来について示唆を与える書籍である。紹介されるゲームタイトルについて、ある程度の前提知識が必要とされる面もあるものの、その殆どが日本発のメガヒットタイトルであることや、批評理論などの高度な人文知識が要求されることのない平易な筆致によって、読者は、興味を惹きつけられたまま読み進めることができるであろう。 |