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原題 Out of Captivity: Surviving 1,967 Days in the Colombian Jungle
著者 Marc Gonslaves, Tom Howes, Keith Stansell
ページ数 480ページ
分野 ノンフィクション
出版社 William Morrow
出版日 2009/2/24
ISBN 978-0061769528
本文 2003年2月13日、アメリカ政府が調査を委託した民間会社の職員3名を乗せた飛行機が、コロンビアのジャングルに不時着した。動揺し、朦朧とする彼らを、雨のような銃弾が襲う。負傷しながらも辛くも生き延びた3人は、このときからコロンビアのマルクス・レーニン主義テロ組織「FARK(コロンビア革命軍)」の捕虜となった。突如としてコロンビアで進行中の過激な紛争に巻き込まれた彼らの捕虜生活は、その後5年以上も続くこととなる……。

本書は、著者3人がFARKの捕虜として過ごした5年半の間に経験した生存闘争、友情、極限状態、救出劇をまとめた初の回想録である。彼らの物語は、読者を世界でもっとも悪名高いテロリスト集団の内側へと誘い、最前線の鮮烈な情景を伝える。読者は、3人の視点から、外の世界にはめったに知らされることのないFARKゲリラの実態を知ることができるだろう。

飢えと戦いながらの40日間にわたるジャングルの強制移動、孤独な監禁、処刑の恐怖、極限状態の心理や人間関係---人生観を変えるほどの圧倒的な脅威にさらされる中で、彼らは恐怖を強さへ、家族との過去と未来を生存闘争の力へと変換した。

アメリカ史上もっとも長い期間、民間人捕虜として生き抜いた彼らの体験談は、3人のアメリカ人がそれぞれの家族のため、そして互いのために、ともに極限状態を生き抜いた、極めて希有な生環の物語である。