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原題 The Science and Technology of Growing Young
著者 Sergey Young
ページ数 272
分野 健康、科学、社会
出版社 BenBella Books
出版日 2021/08/24
ISBN 978-1950665877
本文 「今日は、私の200歳の誕生日。鏡の中の姿はまるで25歳。なぜなら、テクノロジーのおかげで、25歳の体に戻ったから。」

本書は、このように衝撃的な冒頭からはじまる。
人工知能や様々な技術革新のおかげで、あらゆる病気は治癒し、自動運転等により事故は激減。長寿があたりまえの時代はもうすぐやってくる。

かつて大手コンサルティング会社に勤務していた著者は、自身の健康の回復を機に健康と長寿に興味を持った。長寿ビジョン基金を設立し、人工知能、臓器再生、遺伝子編集、創薬、精密医療、個人診断など健康と長寿を目指す分野の優れた企業に投資を開始。そのうち、単なる平均寿命ではなく、「健康寿命をどのように延ばすか」というテーマに着目するようになる。

AI、遺伝子工学、臓器再生、新しい診断装置、健康データ、創薬等のテクノロジーにより、人間の寿命は150歳も視野に入っていると著者は語る。

さらに、これから期待される分野のテクノロジーの発展によっては、200歳を目指すことも可能かもしれないと主張する。
本書では、健康寿命を延ばすだけでなく、「若返り」を目指すことはできるのか?という課題にも及んでいる。

日本の山中教授の人工多能性幹細胞でマウスが「若返った」例が紹介されている。
これは人間にも応用できるのか?近い将来、本格的な研究が予定されているという。

また付録では、100歳まで元気に生きるために今できる身近な10の方法を紹介している。体に良いことに加え、心に良いことも紹介される。

人口増加等、議論されなければならない課題もあるということだが、病気や加齢に不安を感じる人々にとって、非常に興味深く、好奇心を刺激する一冊だろう。